チベットにおいて、タンカ(仏画)は貴重な動産で、表装には貴重な布地が使われてきました。これらの夾纈裂はタンカの覆い布としてチベットで使われていたものですが、何処で生産されたのか、ネパール、チベット、中国なのか現在のところわかっていません。チベットは高地にあり、温度、湿度が一定していますので染色裂の保存には適したところです。これらの夾纈裂は永年使用されていたことを鑑みますと、退色も少なく良い状態と思います。
紅板締は江戸中期から大正末までおよそ250年間京都で行われた紅色を染めるための量産防染技法です。明治10年代ぐらいまで主に紅花が染料として用いられましたが、それ以降は合成染料で染められました。
紅板締版木は文様が主に凸状に彫刻されています。版木の片面のみに彫刻された「片面彫り版木」と版木の両面に文様がほどこされた[両面彫り版木]があります。[片面彫り版木]で20数枚、[両面彫り版木]10数枚が1セットで用いられ、一度に約24メートル染めることが出来ます