板締は布を一組の板、棒を用いて文様染する染色技法です。まず染める布を屏風畳みし、一組の板で上下より圧縮し、防染します。板締染は二つに分類することが出来ます。どちらの板締も一般的には、布地を屏風畳みにしますが、用いる板が「フラットな板」なのか、文様が彫刻された「版木」なのかで分けられます。前者を板締絞り、後者の板締染は、古代から行われていた「夾纈」が良く知られています。また、板締染は「単色染」か「多色染」でもわけることが出来ます。
板締染がいつ頃、どこで始まったのか断定するには資料が不足していますが、古代中国において多色染の板締が[夾纈](きょうけち)と呼ばれ、遺跡からの出土、遺された染織裂から、唐以前から宋、明時代に渡って行われていたことがわかります。しかし、時代を経るに従い、多色板締は廃れ、単色板締の[藍板締]のみになっていきますが、この藍板締も50年ぐらい前に廃れています。 日本の板締め(Clamp-Resist Dyeing)−紅板締めと藍板締め−
中文;日本的板缔(Clamp-Resist dyeing)—红板缔和蓝板缔
板締めに関する出版物
紹介する4冊の出版物は文章を執筆した展覧会図録、研究書です。
「京紅板締め」 1999年芸艸堂
日本での板締め染研究は京都造形大学の前身である京都造形短期大学の助成金を得て山口道恵、小名木陽一、並木誠士、石塚広 が初めて取り組み、その成果として展覧会を開催し、図録を兼ねて「京紅板締め」を出版した。現代美術家の束芋の装丁による。
「よみがえる幻の染色」出雲藍板締めの世界とその系譜 2008年 島根県立古代歴史博物館
日本で唯一確認された出雲藍板締の展覧会図録。出雲藍板締の復元研究は当時の材料、道具をできる限り再現し行われた。出雲藍板締復元工程の記録と藍板締めの系譜を辿る構成になっている。
「各美興共生」中日夾纈比較研究 2016年 中華書房
島根県立出雲古代歴史博物館、北京芸術博物館で開催された京紅板締め、中日藍板締めの展覧会図録、論文集。京紅板締め版木((京都造形大学の寄託後、島根県立出雲古代歴史博物館に)出雲藍板締め版木、それと中国藍板締め画像が多数掲載されている。
「夾染彩纈出」 夾纈的中日研究 2017年 山東画報出版社
日本と中国の板締め研究者の論文集。当初、中国語で出版する予定であったが、日本人研究者の文章は日本語で表記されている。校正が活かされないなど出版社の編集が杜撰であったため日本語文章に表記の誤り、見苦しい箇所が多数見られます。
問題の箇所が石塚の文章に集中していたため、改訂文章を随時公開することにしました。
「京紅板締め」
「よみがえる幻の染色」 出雲藍板締めの世界とその系譜
「各美興共生」
「夾染彩纈出」 夾纈的中日研究
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